皆さんは、「界面活性剤って何?」と聞かれたら説明できますか?
なんとなくは分かっていてもどのような構造になっているのか、いざ説明しようと思ってもうまく説明できないということはありませんか?
今回は、界面活性剤について分かりやすく解説していきます!
また、5月23日に「界面活性剤」がTwitterのトレンドに入りました。
それは、経産省が新型コロナウィルスの消毒に有効な界面活性剤を発表したことが発端でした。
参考までに経産省が発表したサイトを貼っておきます。
紙マスクが無くなった時に布マスクを作ろうという発想が生まれたように、消毒液がなくなったら界面活性剤を使おうというアイデアですね。
Twitterでは、このような反応があり、2000ツイートされました。
これだけ沢山の人が注意喚起しても、子供の顔に洗剤を塗り込む親が出てくるんだろうな。
洗剤薄めてうがいとかやりだす人も居そう。発信力ある人は文句とこの画像も一緒に届けてあげて欲しいっすわ。#界面活性剤 pic.twitter.com/LFxKmc08iB
— たちばな〜 (@tatibana_rougai) May 22, 2020
界面活性剤に関する意見があちこちで飛び交い、情報過多となっている現在ですが、こんな時だからこそ、情報に振り回されないことが大切ですね。
今回は、界面活性剤について取り上げていきます。
目次
界面活性剤についての基礎知識まとめ
界面活性剤のしくみはどうなっている?
まず、界面活性剤の基礎知識についてまとめていきます。
界面活性剤の「界面」は、性質の違う2つのものが壁になってくっつく行為そのものを指します。
これは、何かと何かを結びつける架け橋のようなもので、全く違う物と物が出会ってしまった時に変身したとイメージしてもらえればと思います。
例えば、水と油をイメージしてください。
水と油は、本来違う物質なので、一緒に混ぜようとしても、離れてしまい、油だけが浮かび上がるようになります。
しかし、界面活性剤という魔法をかけることによって水と油が混ざるようになるのです。
本来は違う物質だった水さんと油さんは、界面活性剤さんのおかげで仲良くなることが出来ました。
この状態を乳化といいます。
界面活性剤はどこに使われているのか?
先ほど説明したように界面活性剤は、水と油をくっつけてくれる役割をしてくれていますが、生活のなかでどのように使われているのでしょうか?
食べ物
- マヨネーズ→お酢と油と卵黄で出来ていますが、水と成分が似ているお酢と油をくっつけたのが卵黄の中に含まれている界面活性剤です。つまり、卵黄の中にある成分が界面活性剤の役割を果たしています。
- 牛乳→タンパク質が界面活性剤の役割を果たし、水と脂肪が混ざるようになっています。他にもサラダのドレッシング、アイスクリーム、ホイップクリーム等があります。
化粧品
化粧品には、洗浄力をあげたり、水や油をはじめとするたくさんの成分をきれいに混ぜたりしてくれる役割を果たしていることから界面活性剤が使われています。
代表的なものに洗顔料やクレンジング剤があげられます。
他には、石けんや洗濯の洗剤にも使われていますね。
しかし、何故界面活性剤がコロナの消毒に良いのでしょうか?
それをまとめていきたいと思います。
界面活性剤は本当にコロナに有効なのか?
色々と調べていくうちに、大手洗剤メーカー花王株式会社の化学品研究所で働く岡野 哲也さんの論文を見つけましたのでそれを参考にしました。
〈参考〉花王株式会社 岡野哲也さんの論文
花王株式会社 岡野哲也さんの論文
界面活性剤と殺菌のつながりはどうなっている?
まず、界面活性剤の殺菌メカニズムの詳細は、実はまだ研究中で細かいところは明らかになっていないとのことでした。
それだけ、複雑なメカニズムを持っているということですね!
しかし、論文の中にある仮説から面白いことが分かったので、できる限り簡単な言葉でまとめます(バリバリ文系なので文系っぽくまとめます)
まず、界面活性剤は、水と油をくっつけられる役割を果たしていることは先ほども説明しましたが、これは電気イオンの性質が働いているからということで、4つに分類できます!
それが、①陽イオン性、②陰イオン性、③両性、④非イオン性です。
この中で、陽イオン界面活性剤が最も殺菌に強いことから、多くの殺菌剤として使われています。
しかし、一部だけ陰イオン性や両性の界面活性剤が効果を発揮することもあります。
この殺菌メカニズムについては今も研究が進められていますが、歴史上では、1935年にドイツのドマーク博士の発見から始まったとのことで、長い歴史があります。
界面活性剤の殺菌メカニズムで有効とされている仮説とは?
現時点では、殺菌メカニズムについて現在考えられている仮説として、様々なものがありますが、界面活性剤と細胞膜の結合が大きな要因と言われています。
というのは、先ほどのマヨネーズや牛乳と同じようなプロセスを経て、ウィルスをやっつけてくれるのではないかと言われています。
具体的には、
①細胞膜の中にあるリン脂質を中心とする二重層があり、そこに界面活性剤が入り込んで破壊させているのではないか。タンパク質の変成作用が働いているのではないか。
②界面活性剤の持つ陽イオンと細菌表面の持つ陰イオンがくっつくことで、効果を発揮するのではないか。
という仮説です。
マヨネーズの材料となる卵黄や牛乳のタンパク質に界面活性剤が含まれているように、細胞膜の中にも含まれているかもしれないということですね。
これはあくまでも仮説の段階ですが、陽イオン性界面活性剤に殺菌の効果が含まれていることは確かなので、コロナウィルスに対する効果も期待できますね。
界面活性剤を使う時の注意点は?
ただし、ひとつだけ注意点があります!
陽イオン性界面活性剤は、殺菌の効果を発揮することが明らかになっているので、殺菌剤として使うことは問題ありません。
ただし、そこに陰イオン性界面活性剤を混ぜてしまうと当然ながら効果がなくなってしまいます!(石けん、シャンプー、洗剤のほとんど)
このように、界面活性剤のすべてが殺菌の効果を持っているわけではないことに気をつけて正しい使い方をしましよう。
最後に、もう一度経産省のポスターを見返し、正しい使い方をしましょう。
まとめ
- 経産省が新型コロナウィルスの消毒に有効な界面活性剤を発表した。
- 界面活性剤とは、性質の違う2つのものを結合させる働きをしている。
- 界面活性剤は、電気イオンの性質により、殺菌の効果が期待できるが、正しい使い方をしないと事故を起こす可能性もあるので注意しなければならない。
今回は、界面活性剤のしくみとコロナウィルスの有効性についてまとめました。
確かに界面活性剤は、殺菌効果が期待できるのですが、全ての界面活性剤がそうではないので、注意しながら使っていきたいですね。
最後までお読み頂きありがとうございました!