政治経済

バイデン氏の政策方針はアメリカをどう変える?トランプ政権との違いは?

大きな注目を集めた米大統領選で当選を確実にしたのはジョー・バイデン氏前副大統領(民主)。日本とアメリカ、国は違えど切っても切れない関係にあるため、この結果は私たちにも密接に関わってくるんですよね!

でも、実際バイデン氏がどのような政策を打ち出しているのか具体的にはよくわからないという方も多いのでは?
今回はバイデン氏の政策方針の特徴を各項目にわけて解説していきます!

目次

バイデン政策の特徴

それではまず、バイデン氏が掲げる政策について大まかな項目にわけて見ていきましょう。
トランプ氏との違いにも注目ですね!

経済政策

まず1つ目の項目は経済について。
いま現在、アメリカや日本のみならず世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスに伴う経済政策をどのように進めていくかが最注目ポイント☝

より良い復興

バイデン氏が掲げる経済政策の柱はこちら!

  1. 製造業の復活とイノベーション
  2. インフラとクリーンエネルギーへの投資
  3. 介護と教育への投資
  4. 人種的不平等の解消

この政策は、国全体としてより高い賃金より強力な福利厚生公正で安全な職場を目指すための内容となっています。

そして注目すべきポイントは、クリーンエネルギーや人種差別など民主党の特徴的な政策を引き継ぎながらも、トランプ氏のアメリカファーストを彷彿とさせる「すべてをアメリカ製に」とキャッチフレーズを示し、製造業に触れていることです。

Buy America政策として、クリーンエネルギーや電気自動車に加えて鉄鋼やセメントなども政府支出として4000億ドル購入することが約束され、バッテリーや5G、AIなどへの3000億ドルの投資と合わせて、アメリカ経済にどのような効果をもたらすのか、とても気になります。

しかし現在、上院は共和党の支配状態にあり、この状態が続けばこのような早急な景気刺激策は難しいとされています。

税金

バイデン氏の税金政策は、2つのポイントがあります。

  1. 中間層の税率は引き上げられず、低所得者層においては新たな税額控除や既存の税額控除の拡大を提案
  2. 富裕層や企業に対しては、増税への姿勢を示しており、個人所得の最高税率を39.6%まで引き上げたり、法人税も21%から28%まで引き上げる方針

バイデン氏の増税は大半が企業向けですが、共和党は増税を激しく嫌う傾向にあるため、共和党が上院を支配しているうちは現実化は難しそうです。

増税はアメリカ経済の動向や株式市場にとって最注目ポイントなので今後の動きにも目が離せません👀

コロナ対策

新型コロナウイルスへの対策も経済政策と並んで大きな関心が寄せられるポイントです。
バイデン氏のコロナ対策で掲げているのはこちらです。

  1. 全国的なマスク着用の義務化の実施
  2. 全国的な接触追跡プログラムの導入
  3. 安全で効果的なワクチン開発の支援
  4. WHOの脱退を撤回

トランプ氏はコロナ禍においても経済の正常化に主眼をおいて動いてきました。
それに対してバイデン氏は、感染拡大防止に政府として積極的に取り組み、国民を守るための政策に力を注ぐようです。

社会問題

続いてはアメリカの社会問題についての政策を見ていきましょう!

医療保険制度の改革

トランプ政権下では、オバマケアを財政の負担の大きさから撤廃させようという動きが大きかったのですが、バイデン氏はこのオバマケアを存続し拡充していくことになりそうです。

オバマケアとは、オバマ政権時に導入された医療保険制度改革法の通称。
アメリカにはもともと保険料の高額化によって多くの無保険者がいたが、政府が補助金を出すとともに民間医療保険への加入を国民に義務化し、低所得者層の保険加入が現実化した。

具体的にバイデン氏がオバマケアについて発表している案はこちら!

  1. 安価な公的保険の創設
  2. メディケア(高齢者向け公的医療保険)の適用開始年齢を65歳から60歳に変更

銃規制

アメリカでは毎年4万人もの人が銃器によって死亡しています。
バイデン氏は銃の所持を認める合衆国憲法修正第2条に対して厳格な解釈を持ち、銃規制に積極的な姿勢を取っています。
具体的な内容はこちら!

  1. 殺傷能力の高い銃器の輸入・製造・販売の禁止
  2. 月当たりの銃の購入数の制限
  3. 銃販売時の身元調査の徹底
  4. 銃器と弾薬のオンライン販売の禁止
  5. ヘイトクライムで有罪となった人物の銃の購入・所持を禁止
ヘイトクライムとは、人種や民族、宗教など特定の属性を持つ個人や集団に対する偏見や憎悪が元で引き起こさせる脅迫や暴行などの犯罪行為

人権

人種的不平等の解消はバイデン氏にとって優先事項となっています。トランプ氏はこの件に関しては実質的に取り組むことはありませんでしたので対照的と言えますね。

バイデン氏はこの問題に対して、経済的にも法制度としても対策していくようで、具体的には下のような内容を公約として掲げています。

  1. 黒人や褐色人種、ネイティブアメリカンが手頃な価格の住宅にアクセスするための大胆な投資
  2. 全ての連邦政府機関の主要なポジションにおけるリーダーシップの多様性と説明責任
  3. 有色人種のための退職後の所得保障
  4. 高等教育の機会における公平性

この公約の中には、低所得の家庭については黒人の私立学校の授業料の無料化や住宅規制の撤廃、授業料の支払いなしにすべての人が最大2年間コミュニティカレッジに通うことができる法律を制定することも含まれていて、構造的差別の解消に向けて幅広く政策が進められる予定です。

また、アジアとアフリカのルーツを持つハリス氏を史上初の有色人種、そして女性初の副大統領に選出した実績も大きいですよね!

環境

環境問題についてバイデン氏はトランプ政権時に離脱したパリ協定に復帰することを明言しました。
バイデン氏の環境への取り組みは以下の内容となっています。

  1. 2050年までに100%クリーンエネルギー経済を達成するとともにカーボンニュートラルの実現
カーボンニュートラルとは、ライフサイクル全体で見たときにCO2の排出量と呼吸量とが±0の状態
  1. 経済対策と環境問題の両立のために10年間で1.7兆ドルの連邦投資を行い、追加の民間部門や州・地方の投資を活用して合計5兆ドル以上をクリーンエネルギー革命に投資
  2. 自動車産業で世界トップになるべく電気自動車に積極的な投資を行う
  3. 400万棟の商業ビルや200万軒の住宅を環境に望ましい形でアップデートしていく
  4. スマートなインフラへの投資

外交

続いてバイデン氏の外交政策について見ていきましょう!

対中国

対中国に対するバイデン氏の政策をまとめると、

  1. トランプ氏は中国に対して強硬的な方針を貫いてきたが、バイデン氏はこれを強く批判しており、特に対中関税に関しては一部見直すものと見られる
  2. しかし、バイデン氏も中国に対しては警戒感を示しており、東南アジアにおける安全保障や香港・チベット・ウイグルなどをめぐる人権問題では引き続き対中強硬姿勢が続く見通し

となります。
半ば無理やり感が強かったトランプ氏の対中政策とは異なり、バイデン氏は一貫性のある政策で対応しそうですね。

安全保障

続いてバイデン氏の安全保障における方針を見ていきましょう!

同盟の回復

トランプ政権下でNATO加盟国に国防費の引き上げを要求するなど、強行的で取引的な態度を貫いたため、アメリカとの同盟国・パートナー諸国の関係は緊張状態を極めました。

これに対してバイデン氏は、アメリカのパートナーシップの回復と再構築を約束しており、NATO加盟国の他「日本、韓国、オーストラリアなどアジアの民主主義国との同盟を強化してイスラエルの安全保障への鉄壁のコミットメントを維持する」とのことです。

中東からの米軍撤退

トランプ氏が目指してきた中東やアフガニスタンからの軍の撤退に関してはバイデン氏も同意していて、イエメンでのサウジアラビア主導の戦争に対する米国の支援を終わらせる意向を持っているようです。

また、バイデン氏は投資額よりもどこにどのように投資するのかが大切だと軍事予算の見直しも示唆しています。

まとめ

バイデン氏の政策方針をまとめると

  • 人種差別や環境問題に加えて、製造業にも大量投資してガンガンと力入れていくよ!
  • 低所得者層や中間層に増税はせず税額控除の拡充するけど、富裕層や企業には増税していくよ!
  • トランプ氏とは真逆にWHOにも復活するし、経済の正常化よりもコロナから国民を守ることを優先するよ!
  • オバマケアをさらに進めて医療保険制度を充実化していくよ!
  • 銃規制も厳しくやっていくよ!
  • 経済的にも法制度的にも人種差別や構造的差別と向き合うよ!
  • パリ協定に復活して、環境問題にガンガン投資して力入れていくよ!
  • 中国に対しての関税は見直すかもだけど、人権問題などについては中国に対して厳しい姿勢を続けるよ!
  • 同盟国との関係性の修復をして同盟を強化していくよ!
  • 中東から軍を撤退させたいし、軍事予算の見直しもいていくよ!

このような感じになりますね!
これらが本当に実現していけば、理想的な世界に近づきそうです。
しかし、上院が共和党に支配されているうちはかなり時間がかかるでしょうし、実現が厳しそうなものも多数ありますね。。

そして、1つ言えるのはトランプ政権が勢いで突っ走ってきたときに壊れたものを修復するという雰囲気が強い。(笑)

ともかく、今後もアメリカから目が離せませんね!