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映画「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」を簡単解説!※ネタバレあり

大好きなグザヴィエ・ドラン監督の新作ということでと~っても待ちわびていた今作。

コロナの影響もありじらされながらもやっと最近観ることができました。

あくまでも私個人の感想ですが、今回の作品はなんだか”らしくない”と感じる残念な部分といつもの秀逸なドラン節とが混在するように感じる作品でした。

ドランのいままでの作品と比べ今作がどのように”らしくない”かと、「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」がどんなお話であるかを合わせて解説していきたいと思います。

目次

グザヴィエ・ドラン監督とは

出典:映画.com

映画好きの間では有名ですが、まだまだその名前を聞いたことがないという方も多いかと思います。

まずはドラン監督のご紹介からしていきたいと思います。

グザヴィエ・ドラン(Xavier Dolan、現在31歳 )は、カナダの俳優、映画監督です。

幼少期より子役として映画やテレビ番組に出演し、19歳の若さにして『マイ・マザー』で監督・脚本家としてデビューしました。

母親と息子の確執を描き自身が主演もつとめた処女作『マイ・マザー』。

これがホントに19歳の少年がつくった作品なの?ってびっくりするような映画的完成度の高い作品で、既に彼の天才的な才能が溢れまくってます。

『マイ・マザー』のあとも、『胸騒ぎの恋人』、『わたしはロランス』、『トム・アット・ザ・ファーム』、『Mommy』、『たかが世界の終わり』と続きますが、これが全部ホントに面白く素晴らしいんです!

一躍カンヌの常連となり、センスの塊のような作品たちとその容姿も相まって”美しき天才”と呼ばれるようになったドラン。

その繊細で独特なセンスゆえに観る人によって好き嫌いの大きく分れる監督の一人とも言えるかもしれません。

『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』のあらすじ

このオープニング映像から始まる予告動画をぜひ見てほしいです。オープニング映像からもうドランっぽさが全開でかっこよすぎて痺れました!

突然謎の死を迎える人気俳優ジョン・F・ドノヴァン

彼の死は事故なのか自殺なのか、、。

華々しいスター街道を歩む当時の彼と100通以上にもわたり文通をしていたという少年ルパート

大人になったルパートのインタビューを通して物語は紡がれて行きます。

ジョン・F・ドノヴァンの死の謎と、そこにあった確かな生に焦点をあてながらー。

『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』のみどころ

出典:映画.com

※ここからネタバレありです。

この作品は当時8歳だったドランが『タイタニック』のレオナルド・ディカプリオにファンレターを送った思い出から創作された物語で、ドラン初の英語作品。

ちなみにジョン・F・ドノヴァンも実在する人物ではありません。

スターであり続ける為に自分を偽り追い詰められていくジョン・F・ドノヴァンを通して、マイノリティーであることの葛藤や、ショービジネスの光と闇を描いています。

そして今作でも変わらず描かれているのは母と子の確執

ただしドランが今作で描いたそれは今までの作品のものとは少し毛色の異なるものに感じました。

まずこの作品は今まで観てきたドラン作品よりも、物語がわかりやすく見やすい作品となっています。

それを良しとするかどうかは観る人にもよるかと思いますが、わたしにとってはちょっと残念なポイントでした。

あくまでも私の個人的な感覚ですが、多くは語らず独特な映像と表現で惹きつけ感じさせるタイプのドランの今までの作品の方がおのおのの解釈で物語の余韻をより深く感じることができる芸術性の高いものに感じるからです。

特に残念に感じたのは学校で書いた作文の件からの親子の抱擁までのシーン。

それまでの感動が萎えるくらいの、ベタな展開が感動の押し売りのように感じてしまい、そのらしくない演出にびっくりでした。

あのシーンを丸々省いてほしいとまで思うのは私だけかもしれませんが、今までのドラン作品に慣れている多くのドランファンは少なからず違和感を覚えたのではないかと思います。

とはいえ、個人的に不満な点もあるけれどドランらしい映像と音楽、心を抉られるようなリアルな描写はこの作品でも健在です。

その美しく切ない瞬間を演出する抜群の才能を感じずにはいられません。

そして演技畑で育った彼らしく、映画を作るときに何よりも役者の演技力を重視しているというドラン。

天才子役ジェイコブ・トレンブレイの演技も素晴らしく、オスカー女優のナタリー・ポートマンキャシー・ベイツスーザン・サランドンらも安定した演技力の高さで脇を固めます。

まとめ

出典:映画.com

  • グザヴィエ・ドランはセンスの塊のような作品とその容姿も相まって”美しき天才”と呼ばれ大注目されているカナダ出身の若手監督。
  • この作品はジョン・F・ドノヴァンと少年ルパートを通して、マイノリティーであることの葛藤や、ショービジネスの光と闇、母親と息子の確執を描く。
  • 今までのドラン作品よりも全体的に観やすい作品となっており、親子の絆がわかりやすく感動的に描かれている。

少しずつ変化しながらも魅力的な作品をつくり続けるドラン。

これからの彼の作品も楽しみでなりません!