思いつく原因もないのに、急に耳が聞こえなくなった!会話も聞き取りにくいし、もしかしてずっとこのままなの?こわい!
そんな時は突発性難聴を疑ってみるべきです。もちろん、自分で判断してはいけません。
お近くの耳鼻科医院を受診してください。
目次
症状は?
突発性難聴の診断基準は以下の三点です。
- 突発的に難聴が起こった
- 感音性難聴である
- 原因は不明
さらに付け加えると、痛みはないということも特徴です。
突発性難聴というからには、「急に耳が聞こえない」状態です。名前の通り、朝起きたら聞こえなくなっていた、などということもあります。
この「聞こえない」の程度には個人差があり、「高音部分は聞き取りにくいけど会話はできる」というレベルから「まったく聞こえない」というものまで様々。特徴としては片耳に起こるもので、両耳ともにというのはまれです。
感音性難聴という言葉は耳にしたことが無いですよね。「難聴」には「伝音性難聴」と「感音性難聴」の2種類があります。
伝音性難聴は、耳の外寄りの部分で物理的に音が聞こえにくくなっている状態です。音を伝える部分の問題と言っていいでしょう。例えば中耳炎。炎症がひどくなると、鼓膜に穴が開いてしまいます。音は鼓膜を振動することで聞き取られます。この鼓膜に穴が開いた状態では、当然ながら音を聞き取ることは難しくなります。
感音性難聴とは耳のもっと奥の部分の問題。音が入ってきても、それを脳に伝えることができなかったり、脳が音だと認識できない難聴です。音を脳に伝えるには、電気信号に変換しなければなりません。こうした仕事は外耳・中耳のさらに奥、内耳などで行われています。また、脳とつながっている聴神経に問題があったり、脳自体に異常があっても起きてきます。突発性難聴はこちら、感音性難聴に分類されます。
その他の症状としては、めまいや吐き気といったものがあります。三半規管という言葉をきいたことはあるのではないでしょうか。これは耳の中、内耳にあります。三半規管の名前の通り、からだの上下、左右、前後に対応した構造をしています。この三半規管により、人はからだのバランスをとったり、動きを感知しています。耳は音を聞くはたらきだけではないのです。この機能がおかしくなると、めまいを感じ、そして吐き気といった症状が出てきます。
原因は今のところ不明です。耳の奥、内耳にある有毛細胞(音を感じ取って脳に伝える細胞)がダメージを受けている、という説が一般的です。しかし、なぜ有毛細胞がダメージを受けるのか、ということについてはさまざまに言われており、まだ結論が出ていません。
気をつけたいのは、ストレス、過労、睡眠不足という状況で起こりやすいことです。日本人は眠りが足りていない、ということはよく言われています。最近は睡眠負債という言葉も広まっていますね。2020年に行われた調査では、平均で6時間27分しか寝ていないとの結果が出ています。2018年の調査では7時間22分。この時点で少ないと言われていたのですが、さらに睡眠時間は減少してしまいました。肥満、高血圧、糖尿病。睡眠不足が生む悪いことは数え上げるときりがありませんが、突発性難聴のリスクも上げてしまいます。
突発性難聴の特徴は痛みを伴わないことです。耳の病気というと中耳炎などを思いつくかと思います。この中耳炎や外耳炎は炎症を起こしているため、痛みがあります。対して突発性難聴は炎症をおこしているわけではありません。そのため、「聞く」という機能だけすっぽりと抜け落ち、痛みはありません。べつに痛くないのに耳が聞こえない。考えてみると、こちらの方が痛みがあるより怖いかもしれませんね。
治療は?
薬での治療が中心です。ステロイドというタイプの薬と、血流を良くする薬が用いられます。
原因でも触れました有毛細胞を回復させるように処方されます。有毛細胞に栄養が届くように、血管を拡げ、血流を良くするのが狙いです。
また、「鼓室内注入療法」という耳の中に注射をうつ治療法もあります。
とにかく早く病院へ!
忙しいから、会社を休めないから。そんな理由で、病院に行くのを遅らせてはいけません。
突発性難聴の場合、早期発見・早期治療が求められます。発症後48時間以内に治療をすれば元に戻ることが多いのですが、1週間を過ぎると治療の効果が弱い、または改善がみられないことがあります。そして1ヶ月以上経つと、聞こえないまま聴力が固定されてしまいます。
まとめ
- 急に耳が聞こえなくなったら突発性難聴を疑いましょう!
- 薬物療法が中心なので怖がらずに!
- 時間との勝負です!
40代から60代に多いといわれていますが、若くても過信はいけません。
ストレスや過労なども背景にあることを考えれば、誰がかかってもおかしくない病気です。
すぐに、診察を受けに行きましょう。