2016年にアメリカで、2017年の4月に日本で公開された『はじまりへの旅』。
アメリカでも当初はたった4館だけでの公開だったのが、口コミでの高評価が広まり600館での上映となり世界中の映画祭で大絶賛されました。
カンヌ国際映画祭では「ある視点」部門監督賞にも輝きました。
いわゆる”常識”から外れた風変りな家族の姿を通して、いろいろなことを考えさせられる今作。
ほんとに深イイんです!
わたしはこの作品が刺さり過ぎて、劇場出るとき恥ずかしくなるくらい号泣してしまいました。
作品を彩る名言の数々と、どんな風にこの作品が素晴らしいのか紹介していきたいと思います。
目次
『はじまりへの旅』のあらすじ
人里離れた森で暮らす7人の家族。
お父さん(ウィゴ・モーテンセン)の教育方針で6人の子供たちは学校にも通っていません。自分たちで狩りをしたり食物を育てたり、厳しいトレーニングを積んで体を鍛え身体能力はアスリート並みです。
お父さんに指導されながらたくさんの本を読み勉学に励み6ヶ国語をあやつる子供たち。長男は名だたるいくつかの名門大学の入学試験に高校さえ卒業していないのにも関わらず合格しています。
自分で物事を考え生き抜く力は確実に身につけているが、友達や異性とのコミュニケーション、テレビゲームをしたりコーラを飲んだり等の一般現代的な生活は経験のない子供たち。
そんな彼らがあることの為に町へ繰り出すこととなるー。
『はじまりへの旅』のみどころ
出典:映画.com
この作品は、とても中立的な視点を保った作品だと私は思います。
現代の消費社会から離れ、極端な生活を選んだ彼らを祭り上げるでもなく批判するでもなく。
義理のお父さんとお母さん、妹家族に至るまでそれぞれの考えを中立に描きその多様性を認めた上で、共通する普遍的な家族への愛情や想いが真摯に描かれる姿にとても共感しました。
どんな親でもその子育てに100%の自信なんて持てないと思うし、山ほど間違いながら悩みながら親として人間として成長していく。
ウィゴ・モーテンセン演じるお父さんの複雑な心境を覗かせるいくつもの顔に心揺さぶられました。
6人の魅力的な子供たちは全員オーディションで選ばれ、役作りの一環として、彼らは撮影期間中に砂糖やジャンクフードを一切口にしないという契約書にサインまでして役に臨んだそうです。
劇中であった普通は幼い子供には隠す性的なデリケートな話も全部つまびらかに説明するお父さんの教育方針も私にはない発想でびっくりでしたが、そのやり取りを見て、なるほどって妙に納得してしまいました。
『はじまりへの旅』での名言
出典:映画.com
「興味深いは無意味だ。使うな。」
これは子供に本の感想を聞いた時にお父さんが言ったセリフ。
説明しにくいような複雑な事柄の感想には使いやすく多用しがちだけど確かに内容がない。ハッとしました。
自分の言葉で物事を考え述べる力はこれからの日本でも大事ですね。
「人間は言葉より行動で決まるのよ。」
これもストレートながら改めて身に沁みる名言。言葉よりもその行動がその人を表すというのは普段の生活でもよく感じる部分。言葉に行動が伴った有言実行な人間でありたいものです。
「希望はないと思うと確実になくなる。自由への衝動と物事を変えるチャンスを感じたら世界をよくできるかもしれない。」
「日々 人生最後の日と思え。吸収しろ。大胆に挑戦して楽しめ。すべて一瞬だ。」
グッとくる力強い言葉たち。これは人生を生き抜く上で肝に銘じておきたいです。
長いようできっと振り返ったときには一瞬にも感じられる人生。
その一日一日を大事に何事も諦めずに希望を持って挑戦していく姿勢。それこそがお父さんが身をもって子供たちに伝えたかった教えなのだと感じました。
まとめ
出典:映画.com
- この作品は一風変わった家族を軸にしながら、普遍的な家族愛をユーモアたっぷりに描く心温まるロードムービー。
- 極端な設定ではあるけど、何かの思想に偏る物語ではなく中立な目線でそれぞれの考えが描かれている。
- 劇中ドキッとしたり、心に響いてくるような名言が多数。
子育て中の方は特に親目線で観て共感できたり、異常すぎると感じたり、子育てについていろいろと考えるきっかけにもなる作品だと思います。
子育てのアプローチは違えど子を持つ親の共通した願いは子供の幸せですよね。
そんな親のもつ普遍的な思いの詰まった今作。
ほんとにステキなので、ぜひ観賞してみてください。