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映画『ムーンライト』ってどんな作品?その素晴らしさをネタバレなし解説

みなさんは『ムーンライト』という映画をご存知ですか?

2017年のアカデミー賞で史上最多となる14部門にノミネートされたミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』をおさえ作品賞を受賞した作品として当時日本でもニュース等で話題になっていた今作。

授賞式で作品賞の発表時、まさかの『ラ・ラ・ランド』が間違えて発表されるというとんでもないミスがあったのも記憶に新しいです。

日本でも大人気の『ラ・ラ・ランド』は観た事あるけど『ムーンライト』は観てないっていう人は凄く多いと思います。

『ラ・ラ・ランド』も本当にステキな作品で私も大好きな作品ですが、また全然違った魅力に溢れる『ムーンライト』。

私も当時映画館で観てその素晴らしさに激しく感動しました。

国際的な映画祭の賞レースを総なめにして世界的に認められた作品で、こんなにも内容の素晴らしい作品。

だけど、映画レビューサイトの口コミなどを見ていて気がついたのは、どうやら『ムーンライト』の良さはなかなか伝わりにくいようだということ。

もっと多くの人に大好きなこの作品のステキさに気がついてほしい!

ということで、私が感じる作品の素晴らしい部分を解説していきたいと思います。

『ムーンライト』のあらすじ

犯罪が多発する危険な地域で母親と暮らす黒人の少年シャロン

学校ではいじめられ、家では麻薬中毒の母親に育児放棄されているような状況。どこにも居場所を見いだせずに心を閉ざして日々を過ごしていた。

そんな中で出会った、優しく自分を気にかけてくれる父親のような存在のフアン。そして唯一の友人ケヴィン。彼らには少しずつ心を開いていくがー。

シャロンの少年期、青年期、成人期を3部構成にしてつづった物語。

『ムーンライト』の俳優陣の演技力の高さ

出典:映画.com

この作品でアカデミー賞助演男優賞を獲得したフアン役のマハーシャラ・アリもさることながら、わたしが特に引き込まれたのはスケジュールの都合で、わずか3日という超短期間で母親役・ポーラを演じ切ったというベテラン女優のナオミ・ハリス。

貧困生活の中一人で子供を育てる母親。

貧困地域に身を置いてシングルマザーが生活することがどれだけ大変か。詳しく描かれてはいないけど細かな演技と演出から、彼女が体を売り麻薬に手をのばしてしまったその背景を想像してしまいます。

多くを語らずとも耐え難い現実を滲ませる、その迫力の演技が凄まじかったです。

わたしはお母さんと成人したシャロンとのやりとりに涙腺崩壊しまくりでした。

シャロン役は少年期、青年期、成人期をそれぞれ3人の別人が演じているのにその目の演技で同一人物のように感じさせます

終始口数は少ないのにその表情や目で語る心情表現が素晴らし過ぎました。

『ムーンライト』のみどころ

出典:映画.com

製作総指揮を務めたのはあのブラッド・ピット。『ムーンライト』はブラピが設立した映画会社「プランB」によって製作されました。製作費は150万ドルという低予算。

監督のバリー・ジェンキンスマクレイニーは、同じマイアミのリバティ・スクエア(貧困地域)出身であり、映画も同じ場所で撮影されています。

そしてこの物語は全くの創作ではなく二人の過去の実体験をもとに描かれた物語でもあるようです。だからこそあんなにリアリティーある物語が描けるんですね。

どんなに厳しい環境であっても決して夢を諦めないで欲しいという思いがこの作品に込められているそうです。

この作品の素晴らしいところは物語の説明的な部分が少なく、映像やさりげなく挟み込まれるセリフによってその物語を観る人に想像させ、感じさせてくれるところにあると思います。

わたしはセリフで説明過剰な作品や大袈裟すぎる演技や演出の作品が苦手なので、その本来の映画らしい”映像で物語を表現するスタイル”でここまで情感たっぷりな作品であることに感銘を受けました。

シャロンのおかれた日常を静かに淡々と描きながら、繊細な演出と芸術性が高く美しい映像で強く魅せられます。特にシャロンのどの時期にも出てくる海のシーンは様々なメタファーが感じられる重要なシーン。

この作品は、貧困、麻薬中毒、性的マイノリティなどに苦しみながらも人々がアイデンティティを確立していく物語。

日本で普通に生活しているとどこか遠く他人事のようなシャロンの置かれた環境や状況ですが、シャロンの目を通してそれがすごく身近なものに感じられます。

シャロンがやっと自分を出すことのできたあのシーンには深いカタルシスを感じ心が癒される思いがしました。

まとめ

出典:映画.com

  • 『ムーンライト』は貧困、いじめ、母親の麻薬中毒や育児放棄、性的マイノリティなどに苦しみながらもシャロンがアイデンティティを確立していく姿を少年期、青年期、成人期の3部構成にしてつづった物語。
  • 全体的には静かで控え目な雰囲気でありながら、俳優陣の確かな演技力に支えられ深いカタルシスを味わうことができる傑作
  • 説明が少なく観る人の感性に委ねる部分も多い作品となっているので好き嫌いは分れるようですが、観るたびにどんどん味のでてくるスルメ映画

みなさんは自分を偽らず、自分らしく生きることができていますか?