「古酒」と言えば、まず真っ先に思い浮かぶのがワインではないでしょうか?
「ヴィンテージもの」と聞くと、熟成されたプレミアの付いたお高そうなワインをイメージしてしまいます。
実は日本酒にも年月をかけ、熟成させたお酒があるんです!
日本酒にはフレッシュなイメージがありますが、時が作り上げた日本酒は、いったいどのようなものに変化するのでしょうか?
この記事では、熟成させた日本酒、《熟酒》について紹介していきます。
これまでも、日本酒シリーズでこんな過去記事を書いてきました。良かったら併せて読んでみて下さいね♪
目次
熟酒とは
長期間熟成させることで、色、味わい、香りに変化が生じます。新酒とはまた違った変化を楽しめるお酒です。希少性が高く、値段も少々高価なものが多いです。
実は古酒には酒税法上、「何年以上のものを古酒という」といった厳密な決まり事はないようです。
それぞれの酒蔵さんが独自で定義づけたり、ルールの中で長い間熟成させたものを「古酒」と呼んでいます。
色は「琥珀色」や「黄金色」、「ルビー色」など熟成期間によって様々です。
香りは熟成香と呼ばれ、「甘く濃厚な」や「スパイスのよう」、「ドライフルーツ」などと形容されることが多いですが、熟成させる期間によってその様は変わってくるようです。
トロリとした角のない滑らかな口当たりですが、熟していく中で醸し出される複雑な旨味に、少し個性を感じるかもしれません。
ポイント4選
分類されるお酒
古酒、秘蔵酒、長期熟成酒
飲み方
種類、熟成年数などで香りや味わいに変化があるため、一概に言い切れないところがあるのですが、”冷やし過ぎず温め過ぎず”がいいようです。常温で飲むのがおすすめ。
適した飲み頃温度:15~25℃、または35℃前後
温めることで熟成香が広がり、更に豊かな味わいを楽しめるでしょう。
熟成香が強いと感じるような場合は、少し冷やして飲むことをおすすめします。
但し、温め過ぎても冷やし過ぎても熟成香が飛んでしまい、持ち味を無くしてしまいます。色々試してみて、ご自分のお好きな『飲み頃温度』を見つけてくださいね。
食後酒としても楽しむのもいいですね!
意外な組み合わせかもしれませんが、チョコレートや干しブドウ、ナッツ類もイケますよ。
ぴったりの酒器
透明なグラス類がいいでしょう。
香りだけでなく、輝くような豊かな色調も楽しめます。
くびれがあるブランデーグラスですと、どちらも最大限に堪能することができます。
リキュールグラスも香りがすっと立つタイプ。
佇まいが凛としているので、こちらもおすすめです。
他には、内側が金塗りされた漆器も高級感を更にアップさせてくれることでしょう。
相性のいいお料理
お酒そのものが、香りや味わいに個性があるので、お料理を選ぶタイプになります。
濃い味付けや脂の多い料理と相性がいいでしょう。
豚の角煮、ビーフシチュー、麻婆豆腐、すき焼き、鰻の蒲焼、ブルーチーズ、酢豚、煮込みハンバーグ、回鍋肉、フォアグラのソテー、チョコレートなど
熟酒・熟成した古酒には3つのタイプがある
長期熟成酒研究会によると、古酒は3つに分類されるそうです。
熟成古酒3タイプ
「醸造法」、「貯蔵・熟成法」、「熟成年数」の違いによって大きく3つのタイプに分けられます。
・濃熟タイプ…本醸造酒、純米酒。熟成温度は常温熟成。熟成を重ねるにつれ、照り、色、香り、味が劇的に変化、風格を備えた個性豊かな熟成古酒。
・中間タイプ…本醸造酒、純米酒、吟醸酒、大吟醸酒。熟成温度は低温熟成と常温熟成の併用。低温熟成から常温熟成へ、またはその逆の貯蔵法により、濃熟タイプと淡熟タイプの中間の味わいを実現した熟成古酒。
・淡熟タイプ…吟醸酒、大吟醸酒。熟成温度は低温熟成。吟醸酒の良さを残しつつ、ほどよい苦みと香りが渾然一体となった、幅のある深い味わいの熟成古酒。
(引用:長期熟成酒研究会)
取り巻く環境や年月が、新酒の時とは違った別の表情を魅せてくれるお酒に変化していくのですね。
古酒昔話
遡ること江戸時代までは、古酒はポピュラーなものだったようです。
長く寝かせるほど高値が付き、9年寝かせた古酒はなんと!
当時のハイグレードな新酒の3倍の値で取引されていたそうです!!
それが明治時代になると、酒税に更に重い税金をかけられ、次第に多くの酒蔵が圧迫されて古酒を貯蔵するのをやめてしまい、廃れていったという説があります。
それが昭和に入り、40年代頃から復活に挑戦する酒蔵さんが出てきて、現在こうして味わうことが出来るようになりました。
おすすめの熟酒
- 純米大吟醸 10年古酒 美山錦 (茨木)
- 達磨正宗 10年古酒 (岐阜)
- 大正の鶴 秘蔵酒 (岡山)
まとめ
今回は、日本酒4つのカテゴリーの《熟酒》についてご紹介しました。
- 熟酒とは日本酒を長期間熟成させることにより、新酒とは違った変化を楽しめるお酒です。
- 熟酒には「熟熱タイプ」「中間タイプ」「淡熱タイプ」と3つのタイプがあります。
- おすすめの熟酒は「美山錦」「達磨正宗」「大正の鶴」です。
熟成古酒は一度消えてしまったものの、現代に蘇りました。
古の良き文化が復活し、こうしてまた堪能できるようになったのは本当に有難いことです。
あなたも江戸時代の人々が楽しんだであろう、”珠玉の一献”を味わってみては如何でしょうか?